しろあと歴史館コレクション展「韓信の股くぐり」

 カテゴリ/高槻歳時記 投稿日/2019-10-08

毎回、さまざまな企画で高槻市民の「歴史心」を満たしてくれるしろあと歴史館の特別展。
今回の目玉は、中国の有名な故事を描き出した屏風の展示です☆
 

(※「しろあと歴史館」 の建築は、実は小阪工務店によるもの。高槻の歴史を語り継ぐ建物に携わることができるということは、小阪工務店の誇りでもあります!!)


高槻歳時記の写真1

紀元前3世紀ごろのこと、中国のある街を大柄の男性が歩いていました。
孤児として育ったこの男性はとても貧乏。
腰に付けた大きな刀だけが異様に目立っています。
 
そんな男性の前に、不良集団がやってきました。
リーダー格の若者が男性をバカにしながら、声高に叫びます。
「おいお前、立派な刀を持っているな。
死ぬのが怖くないのなら、その刀で俺の首をとってみろ。
もしできないのなら、黙って俺の股の下をくぐるがよい!」
毎日、武芸の練習を積んでいた男性にとって、この不良少年を斬り殺すのはたわいもないこと。
けれども、それで恨みを買い敵として負われ、一生お尋ね者となることは、けっして将来のためにはなりません。
 
周りにはどんどん人だかりができてきます。
もう、無視をしてその場を立ち去ることもできません。

高槻歳時記の写真2

公衆の面前で地べたにひれ伏して、若造の股の下をくぐるのは最大の恥辱。
それでも、男性は将来の大きな志のために、恥を忍び屈辱に耐えたのです。
「私は人を殺して名を上げたいのではない。
大軍の将として知略でこの世に名をとどろかすのだ。」

高槻歳時記の写真3

彼の名前は韓信。
やがて前漢の初代皇帝となる劉邦の補佐として、中国の長い歴史の中でもひときわ輝きを放つ、天下の名将となるのです。

高槻歳時記の写真4

本当に叶えたい夢のためなら、目先の屈辱は気にしない。
口先だけの「見栄」とは違う、真の「プライド」について深く考えさせられるエピソードですね。
 
実は、あまり知られていませんが、この故事には後日談があります。
劉邦のもと大活躍を遂げた韓信は、王に任命された後、故郷に戻り、かつて自分を侮辱し股をくぐらせた人物を見つけさせます。
 
「あの時、お前を斬り殺すことは簡単なことだった。
でも、私は、その場の恥辱を受け入れ、お前の股の下をくぐったからこそ、今こうしてこの地位と名声を手に入れたのだ。」
 
王となった今、あの時の仕返しに殺すのか…と思いきや!?
なんと、韓信は、この男に中尉という役職を与えたのです!
 
この韓信のすばらしい行動は、その類い稀な武功とともに「韓信の股くぐり」「韓信匍匐(ほふく)」という故事成語として、2千数百年経った今も、長く語り継がれています。
 
◆ しろあと歴史館 コレクション展
【会期】 令和元年9月14日~12月22日
【開館時間】10時~17時(最終入館16時30分)
【観覧料】無料
 
現在、しろあと歴史館は、外壁工事を行なっています。

高槻歳時記の写真5

開館日は日曜日に限られ、駐車場も利用できませんので、お出かけの際はご注意くださいね。
 
韓信はこの他にも、「国士無双」「背水の陣」「多々益々弁ず」など、さまざまな故事成語にまつわる人物として、日本でも非常に有名です。
この秋、高槻・しろあと歴史館のコレクション展を機会に、中国の歴史や故事成語の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

高槻歳時記の写真6

 カテゴリ/高槻歳時記 投稿日/2019-10-08

『高槻歳時記』の一覧