皆さんは、「住宅性能」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
地震などに強い耐震性、省エネのための断熱性や気密性——最近では特に後者に注目が集まっています。

今回は、この断熱性、気密性についてなるべく分かり易くご説明してみたいと思います。

この二つを改善していくことで、家の内と外の温度が相互に伝わりにくくなり、冬は暖かく、夏は涼しく暮らすことができるのがメリットです。一方で、断熱材を多く使ったり、サッシ(窓)を二重にしたりする部材代や工賃が余計にかかるため、新築やリフォーム時にコスト高になるのがデメリットとなります。

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/
イラスト/資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「省エネルギー住宅とは」より

家の断熱性能、気密性を高めることで、冬は内側の熱が逃げにくく、隙間風が入りにくくなるので暖房効率が上がり、暖房機(エアコンやヒーター)の稼働が少なくて済みます。
また、夏は外気の暑さが家中に伝わりにくくなるので、極論クーラー一台でも涼しさを保つことができます。いずれも電気代・ガス代が少なくて済み、年間の光熱費が下がる「省エネ効果」が見込めることが、住宅性能を高める大きな狙いだと言えます。

エネルギー資源の可採年数には限りがあり、また地球温暖化の原因となるCO2の削減が世界規模で求められています。
2015年、フランスに各国首脳が集まり「温室効果ガス排出量削減目標」を各国で設定する「パリ協定」が取り決められ、日本でも2030年度までに(2013年度比)温室効果ガスを46%削減する目標が掲げられています(2021年に26%から引き上げ)。

そんな背景もあり、具体的な省エネ施策が必要となってきたわけです。

日本では、国土交通省主管で2015年に【建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法/平成27年法律第53号)】が公布され、資源エネルギー庁(経済産業省)が国のエネルギー政策を広く知ってもらうための「省エネポータルサイト」を公開しています。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/index.html

そしてこの建築物省エネ法は、2025年4月から原則としてすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務化されました。これにより、省エネ基準(断熱等級4以上)を満たさない建物は建築確認が下りず、着工そのものができなくなっています。かつては「努力義務」だった省エネ基準が、今では新築住宅の大前提となったということです。

では、質問をもう一つ。皆さんは、ZEH(ゼッチ)という言葉を聞いたことはありますでしょうか? ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称であり、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅を指し、省エネポータルサイトでは以下のように定義されています。

【ZEHの定義】
外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現(省エネ基準比20%以上)した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅


※引用元:経済産業省資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html

政府は「2030年度以降に新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という目標を掲げてきました。2025年4月の省エネ基準適合義務化は、この目標達成に向けた大きな一歩であり、次の段階として2030年度以降は断熱等級5(ZEH水準)が新築住宅の最低基準となる予定です。

ZEHのメリットとして「経済性」「快適・健康性」「レジリエンス」の三つが挙げられます。室内の急激な温度変化によるヒートショックを防ぐ効果があり、太陽光発電と蓄電池を活用することで、非常時でも生活を送ることができます。
※レジリエンスとは、困難や脅威に直面している状況に対して「うまく適応できる能力」のこと

ZEH建築支援としての補助金制度も刷新されています。
2026年度(令和8年度)は、国土交通省・経済産業省・環境省が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」の中で、新制度「みらいエコ住宅2026事業」がスタートしました。
https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/
新築住宅の場合、住宅の性能区分に応じて補助額が変わり、ZEH水準住宅で最大40万円程度、長期優良住宅で最大80万円程度、より高性能な「GX志向型住宅」では地域区分によって110万〜125万円程度が目安とされています(予算上限に達し次第、受付終了となるため要確認)。また、環境省が世帯要件なしで実施する独立のZEH補助金制度もあります。制度は年度ごとに名称・要件・金額が変わるため、実際に検討される際は最新の公募情報をご確認ください。

参考までに、基準値を記載しておきます。各地域区分の代表都市で実現するための外皮平均熱貫流率UA値
※床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。値が小さいほど断熱性能が高く、熱が逃げにくい家となります。

高槻市は、地域区分の「6」に入っています。

なお、2022年の基準改正により、それまで最高等級だった「断熱等級4」の上に、ZEH水準にあたる「断熱等級5」、さらに上位の「断熱等級6」「断熱等級7」が新設されました。これにより、かつて最高等級とされていた等級4は、2025年4月からはむしろ全新築住宅が満たすべき最低ラインという位置づけに変わっています。

※小阪工務店の家づくりの現在の断熱性能水準については、社内の最新仕様に基づき別途ご確認・ご案内いたします。

先ほどの表「外皮平均熱貫流率UA値」に出てきました「HEAT20(G1〜G3)」については、後篇でご説明したいと思います。
等級6・7とHEAT20のG2・G3がどう対応するのかもあわせてご紹介します。

後篇に続く
⇒ 住宅性能について考えてみた(後編 / 業界基準HEAT20)